星月夜 とりとめもなく 綴るなり

のんびりとひとりごと

映画「家族ゲーム」を観て

BSPで放送してた森田芳光監督「家族ゲーム」を観ました。

ネタバレありです。

 

f:id:lillam_y:20201129113619p:plain

1983年公開。映画館では観ておらずテレビか何かで昔一度観たはずですが、横一列のテーブルが変だなと思ったくらいでその時の記憶があまりないです。よくわからなかったんだろうな。

今回また観て、今度はすごくおもしろかったです。いろいろ考えさせられました。

細長い食卓のテーブルで家族が横一列になって食事をするのが特徴的で有名なシーンですが、お互いに向き合っていないことを表しているんでしょうね。父親は子供たちに勉強しろとは言うが、あとは母親にまかせっきり。「お父さんからも何か言ってください」と母親にお願いされても、お前の仕事だろとか忙しいとか言って逃げる。母親は母親で子供の世話や家事を懸命にやってはいるが、子供に怒る理由がお父さんに怒られるからだし教師との面談も行きたがらなかったりする。つまり二人とも積極的に子供にかかわろうとせず親身になって子供のことを考えているようには思えない。愛情が感じられないです。親が無関心だと子供は安心して前に進めないですね。こういう家昔よくあったな。どこかで聞いたような夫婦の会話だった。

受験戦争という言葉が浮かんできました。今もそうかもしれないけど、この頃は特に学歴偏重の色が濃かった気がする。次男の茂之は中学3年生の受験生。勉強が苦手で成績もあまり良くない。長男は進学校に行っていて茂之も同じ高校に入れと親から言われている。やみくもに良い高校に入れというのは勉強が苦手な子にとってはつらいですね。茂之は鉄道が好きで、鉄道の本は丸暗記できるほどだと母親が言っています。じゃあ将来鉄道の仕事に就くことを目標にして、そのためにはどうすればいいのか考えよう、勉強しようと働きかければ前向きに勉強できそうなのにな。とにかく○○高校、○○高校と連呼する父親が頭が固くて無責任に思えた。何のために勉強するのか。とても大事な問い。

母と息子二人が眠っていて目覚めるというラストのシーン、いろんな解釈ができるようになっていてネットで感想読んでみても様々な意見がありました。今までの話は全部夢で夢から目覚めたのだとか。私もどう解釈していいのかよくわからなかったのですが、ヘリコプターが上空をうるさく旋回しているし、なんとなく不穏な感じがしました。松田優作さん演じる家庭教師のおかげもあり茂之は無事志望校に合格はできたけれど、家庭教師は去ってしまったし家族が変わった様子もない。このままじゃ前途多難だと予見しているのかなと。

偉そうに書いちゃったけど、みんな普通にやることなのに誰もが家族の作り方を教えてもらうわけじゃなくて、難しいことなんだな。私も右往左往しそうです。