星月夜 とりとめもなく 綴るなり

のんびりとひとりごと

たかがTシャツ、されどTシャツ。

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村上春樹さんのエッセイ「村上T」を読みました。

 春樹さんのエッセイ久しぶりに読みました。たぶん最近はあまりエッセイを書かれてなかったのではと思うのですが。昔はよく読ませていただいていて、小説はもちろんですがエッセイもとても好きなので今回読めてすごく楽しかったです。

もう30年以上読んでるんですね、春樹さんの小説やエッセイを。この「村上T」の中で春樹さんはいろんなことを気がついたら継続しているとおっしゃっていて、そのひとつがTシャツの収集だそう。他にも例えば走る事とかジャズとかあるのかな、これは私の想像ですが。その点私は飽きっぽい性格なのか物事があまり続かないと自分で思っていてそれがコンプレックスだったりするのですが、そうだ、私にも続いているものがあった、ずっと春樹さんのエッセイや小説を読んでいるじゃないかと嬉しくなりました。なんというか自分のホームグラウンドに戻ってこれたみたいな感覚です。

雑誌にTシャツについて連載されていたものをまとめてあります。こんなに世界的に著名な作家さんでも中古屋さんで一枚1ドルとか2ドルとかのTシャツを買って着ていらっしゃる。そこが春樹さんらしいなあとも思ったしTシャツに対する何か哲学のようなものを感じました。

一口にTシャツといってもたくさんの種類があり、当たり前ですがTシャツが作られるのには理由というかコンセプトのようなものがちゃんとある。それを学べたような気がします。今までそのあたりなんとなくデザインがいいとかだけで選んでましたが、今度からはその成り立ちみたいなものも考えてTシャツ選びができそうです。

というとなんか硬い本みたいですがそんなことは決してなく、いつものように軽妙な文章でクスッと笑えて楽しく読めます。そこにふわっと文化の香りがするというか。いつも思うのですがビールやらウイスキーやら、お酒が飲みたくなりますね。

一番印象に残ったTシャツは、春樹さんもおっしゃってますが「トニー滝谷」のTシャツです。1ドルくらいで買った「トニー滝谷」とプリントされたTシャツからインスパイアされて「トニー滝谷」の小説ができたそうです。そして映画にまでなった。私は「トニー滝谷」の小説も映画も大好きなのでこのエピソードは大変興味深かったです。

それにしても春樹さん、たくさんの国を訪れていらっしゃって、今回それが一番うらやましかったですね。世界は案外せまいのかもしれないです。

次は「一人称単数」を読む予定。楽しみです。