「むらさきのスカートの女」を読みました。
今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」を読みました。
2019年上半期の芥川賞受賞作。
※ネタバレありです。
「わたし」がむらさきのスカートの女と友達になりたいと思い観察をするお話なのですがこの執着の仕方がすごい。もうストーカーの域です。
私もタイトルの「むらさきのスカートの女」から連想してなんとなく素敵な特別な女の人なのかなと期待していたのですが、話が進んでいくうちになんだ普通の人だってことがわかってきて少しがっかりしたくらいなのに、この「わたし」はがっがりするどころか執着しすぎて危うく自分の人生が壊れる寸前になります。友達になりたいというには盲目的すぎる。
いったい彼女は何を望んでいたのだろう。
ストーカーする人って思い込みや妄想力、そのための行動力がすごいんですかね。この力をもっと他のことに使えたらな。もったいない。
ここまで書いて自分も一歩間違えばもしかしたらこうなる可能性もあるのかもしれないなと思った。いつも冷静でいられるとはかぎらない。私の場合はそれが内に向かうかもしれないけれど。
女性の多い職場独特の陰湿な感じがよく出ていますね。登場人物それぞれいいところも嫌なところもある普通の人たち。それが自然に書いてあるなあと。
ミステリーっぽいかと思いきやコミカルでもあって読みやすいです。文章の上手な人ですね。
なんとなくアガサクリスティーの「アクロイド殺人事件」を思い出しました。殺人は起こってないですが。
今村さん初めて読みましたが、他の作品も読んでみたくなりました。