「真実」と「ジョーカー」を観て
レディースデーの水曜日、映画をはしごして2本観ました。
もっと疲れるかなと思ったけど全く違うタイプの映画だったので大丈夫でした。
まずは是枝裕和監督の「真実」。
主演のカトリーヌ・ドヌーブさん演じるファビエンヌはわがままでプライドが高い大女優。久しぶりに会った娘にも冷たいし長年世話をしてくれている秘書にも厳しい。けれど本当は孤独で寂しいと思っている。女優としても女性としても不安を抱えている。
カトリーヌ・ドヌーブさんは寂しいとか悲しいとかいう表情をほとんどせず、というか始終微笑んでいたような印象なのに寂しさや孤独が伝わってきて、さすがでした。すごかったです。
ファビエンヌはしょっちゅう食べ物、とりわけ甘いものを欲しがっているのですが、これはそういう寂しい現実をまぎわらしているのかな。
後半ファビエンヌがジュリエット・ビノシュさん演じる娘に弱みを見せる場面があって、そこから二人の仲が近くなっていったように思いました。やっぱり自分の弱みをさらけ出すのって怖いけどその方が理解されやすい事ってありますね。
親子の真実が明かされるっていうストーリーですがミステリーのような種明かし的な要素はなく、普段の会話や生活からだんだん分かってくるという実際の時間の流れに近い形で進んでいくのが私は好きでした。
カトリーヌさんとジュリエットさんが二人で話している場面が多く、わー大女優の共演だ日本人監督が撮ってるのよと内心ドキドキしてました。ミーハーな感想ですみません。
2本目はトッド・フィリップス監督の「ジョーカー」。
ジョーカーってバットマンの最大の敵で歪んだユーモアを持つサイコパスなんですね。それを全く知らずに映画を観ました。バットマンもダークナイトもまだ観てません。
知らずに観たのでなんだこれは、なんでこの映画を作る必要があるのとまで思いました。それくらい悪意に満ちていた。この世界は悪なんだと言いたいのかな。物事の裏側を見なさい。この世は悪意に満ちているのだと言いたいのかも。
でもどうしても精神障害を食い物にしているという印象がぬぐえませんでした。精神障害があるからといって殺人を犯すとは限らないし、あまりにも短絡的です。答えのなかなか出ないことに無理やり答えを出したような感じ。
ネットを見ると共感したという感想が多くて驚きました。社会的弱者である主人公がダークヒーローになることに共感するのだそうです。でもいかにも社会的弱者の味方であるような描き方をしているけれど、そういうふりをしてただ利用しているだけだと思いました。社会的弱者がそれを理由に殺人を犯してしまっては、今本当に苦しんでいる人の行き場がなくなってしまいます。
ホアキン・フェニックスさんの演技は素晴らしいと思いました。
ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞されたんですね。それも観てから知りました。映画祭に失礼だったらごめんなさい。バットマンやダークナイトを観ていたらまた違った感想だったかもしれないです。
エンターテイメント映画なのにまじめすぎる感想かもしれないですね。不快に思われたら申し訳ないです。でも本当に思った事なのでこのまま載せることにします。